養分

試練与えては試す神たちをいつの日か超えてゆける

初級じゃないキャノンボールの話

毎年ゴールデンウィークには草津経由で渋峠に行っているが、今年は冬季閉鎖解除直後に白根山の噴火警戒レベルが上がってしまったので断念せざるを得ない状況に。
連休にしかできない感じの代替ロングライドを探していたところ、大阪行く予定あるしついでにキャノボやってしまえばいいのではという軽い気持ちで決行。当初は東京発の予定だったが天候の関係で大阪発に。予報では常時追い風の好コンディションだが、24時間で走り切る走力がないことは自覚していたのでグロス20km/h(26時間程度)を目標に設定。あわよくば24時間切りを狙っていくスタイル。

 

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■梅田新道~三重県伊賀市
急に思いついたので適当に5/3 16:30にスタート。鶴見3交差点、花博西口交差点とつないで第二京阪高架下の側道を使って清滝峠へ向かう。こちらの運転は荒いイメージがあったものの特に関東と変わらないように感じた。いきなり事故現場2件も見かけたけど…
清滝峠は反対側にわたってトンネル歩道でクリア。奈良県をかすめて木津駅前を左折、木津川を渡ってすぐに右折しR163をなぞる。事前情報通り信号少な目でアップダウンが続くが、こういうコースは好みなのでとりあえず脚が動くうちに回していく。上野原あたりのR20っぽさがある。
木津川沿いは伊賀市まで文明がなく、建物どころか街灯もないので日が落ちたタイミングと重なったこともあり心細かった。車は少な目で路面も綺麗な方だと思うので快走路と呼んでいいのは間違いないけど、魔境みがあるので明るいうちに通過した方心理的には楽かもしれない。

尿意を感じたのでファミリーマート伊賀三軒家店で最初の休憩。よく考えたらスタート前にトイレに行くのを忘れていた…。バナナをたべてすぐにリスタート。あと寒かったのでホットミルクティーをジャージ内に突っ込んだ。

ここまで 61.7km (02:47経過 グロス22.2km/h)


三重県伊賀市四日市市
コンビニを出てしばらく走ると伊賀上野の市街地が見えてきた。ナイトライド好きなはずなんだけど何故か暗いのが心細くて、ちょっとした街明かりでも安心。多分西松屋の煌々とした明かりで気持ちを取り戻してた気がする。
ただ田舎なので市街地はすぐに切れて加太越がやってくる。清滝に比べたら緩いのでアウターで回しているうちにピークを過ぎてしまった。下りに入れば確か砕石所の入り口があってダートがあるんだよなと思い出すが路面は綺麗なままでそんな気配はない。もしかして舗装されたのかなあと考えていると関西本線をトンネルでくぐるととんでもねえ凸凹道が出現した。

未舗装のオフロードを想像してたけどアスファルトがはがれて路面がボコボコになって砂利だらけなのが加太ダートだった。実際はストリートビューの10倍くらいひどい状況で、これは下手につっこんだらリム打ちパンク必至。真っ暗なので警戒気味に走ってて良かった…

関宿でR1に合流してゆるやかな向かい風の亀山バイパスを進む。噂に違わず自転車が走っていいのか疑いたくなる(入り口できょろきょろしたけど標識はなかった)レベルの超快走路だった。ちょっと気持ちが切れてきたのでファミリーマート四日市追分一丁目店に入る。固形物は控えめにしようと思っていたのでリアルゴールドとヨーグルトを摂取してチョコバーをバックポケットに入れる。目についたキューピーコーワゴールドの錠剤(100円2錠)も飲んだけど効果のほどは謎。相変わらず寒くてここでもおなかにホットドリンクを突っ込む。もうカイロ欲しい。

ここまで 119.0km (05:00経過 グロス23.8km/h)

 

四日市市~愛知県豊橋市
四日市は思ったより大きい街だった。街明かりは安心するけど信号が多いのはつらい。

淡々とR1を進み、揖斐川長良川木曽川の順で渡って愛知県に入る。三重県長かった…。23時台で車はあまりいなかったけど、木曽三川は路肩が狭いと聞いていたので歩道を走行。揖斐川長良川はそうでもなかったけど木曽川の歩道は激しく波打っていたので交通量の少ない時間帯は車道を走った方がいいのかもしれない。ここでライトやサイコンが吹っ飛んだとの先人の言葉を理解した。バニーホップの練習くらいにはなるかもしれない

名古屋を通過中に日付が変わる。伝馬町の陸橋を回避して進路が南に変わっても特に風向きの変化は感じず。予報だとここから豊橋までは向かい風~横風だったけどラッキー、なんだけどやっぱり夜中は寒い。24時間営業の薬局を見つけたがもう5月なのでさすがにカイロは置いてなかった。
豊明ICの自転車進入禁止を回避してそろそろ休憩かなと考えていると前方に2台の自転車を発見。このお二方も大阪発で東京まで向かっているとのことで、互いにエールを送り合った。GWとはいえ真夜中に同じことをしている方に出会うと思わなかったので少しテンションが戻る。さらにしばらく進むと横浜まで向かうという別の方にも遭遇。「東京までですか~すごいですね~」と言われたけどこの距離だと東京も横浜も誤差だよ?

本宿の坂は特に労せずクリアしたけどその後の下りで完全に身体が冷えてしまった。さっさと休憩すればよかったんだけど、おなかがすいていなかったのと下り基調で停止したらもったいない気持ちになっていた。そのまま惰性で進んでいるとサイコンの気温表示は9度。これで軽く心が折れてファミリーマート豊橋西口町店に駆け込む。カップラーメンの暖かさが染みる。

ここまで 222.4km (11:04経過 グロス20.1km/h)
この100kmでグロス速度落ちすぎでは…

 

豊橋市静岡県掛川市
コンビニを出ると暴風と呼んでいい強烈な追い風が吹いていた。潮見坂までのダラダラ登りも適当に踏んでるだけで40km/h出てしまう程度。ここからは追い風予報だったけどここまでとは。

愛知静岡県境付近で12時間経過。疲れが出てくるころだけど日が昇ってきたことによる気持ちの回復も相まって順調に東進。浜松バイパスの東海道線を跨ぐ箇所は踏切で回避、天竜川はR1歩道、袋井バイパスの分岐など自転車注意ポイントをしっかりとこなして金谷峠手前のファミリーマート掛川千羽店に到着。断続的にゼリーやバーを摂取していたがおなかがすいたので冷やしうどんを購入。夜は凍えてたのにもう暑い。あと胃が荒れてきたので胃薬を飲んでおく。
結局この区間あんまり頑張らなかったというか頑張れなかったけど、終始強めの追い風が吹いていたのでだいぶ脚は回復できたかもしれない。

ここまで 291.8km (14:21経過 グロス20.3km/h)


掛川市沼津市
出発するとすぐに金谷峠への上りが始まる。斜度はそこそこあるけど短いのでなんとか攻略。下ってすぐの大井川は信号が変わったので反対側歩道で通過。宇津ノ谷も反対側に渡ってトンネル歩道でクリアし、ゆるい坂を下って安倍川を渡ると静岡駅が見えてくる。ここまでくると見知った風景でなんとなく安心感が生まれるがまだ200kmもある。残りブルベ1回分と考えると近いのか遠いのか…

由比は自転車道を通過。波浪でやられた旧スマル亭の姿が痛ましかった。予定では寺尾の陸橋まで自転車道を使う予定だったが、西倉沢でちょうど信号が変わったので旧道にイン。
蒲原から富士バイパス~田子の浦~檜交差点と抜けて行くショートカットルートは今日一番の暴風が吹いていて、信号ストップで速度を落とそうとしても加速していく怪奇現象が発生した。
いつ走っても強烈な退屈さが襲ってくる千本松原を抜け、ローソン沼津東間門店で最後のコンビニ休憩。無意識のうちに行われていたファミマ縛りが終わる。ダブルボトルの片方を麦茶に入れ替え、レッドブル、バナナ、塩むすび*2、メイタン金を補給。これで本当にドーピングだ。胃はまだムカつきがあるけど薬の効果もあって固形物は受け付けてくれそう。もう時間的に24時間は無理になってきたが完走は見えてきた。

ここまで 387.5km (19:02経過 グロス20.4km/h)

 

沼津市日本橋
三島市内からやたら渋滞しているなと思っていると、箱根への上りは三島スカイウォークへ向かう車で大渋滞が起きていた。GWすごい。
牛歩どころか全く進まない車列を横目に誰も使っていない歩道をゆっくりと上って行く。もうゆっくりとしか上れない。過去に1回だけ三島側から上ったことがあって、その際は途中で押しが入るほどつらかった記憶があったけどそこまでのつらみはなく63分で箱根峠に到着。80分くらいを想定していたので上出来。芦ノ湖まで下るとまた渋滞が起きていたが、旧道に入ると流れが良くなりいつも通りの箱根になった。
三枚橋で無事にR1に復帰し、小田原まで下ってくるとあとは完全にご近所と呼んでいいレベルの道で目をつぶっていても帰ってこれるルートだが、本当に目をつぶると寝落ちしてすべて終了するので気合を入れなおしつつ大磯からR134に入る。遊行寺の坂、大阪、権太坂をやっつければあとは完全にフラットだと考えると気が楽になり、いつも通りとはいかないけど浜須賀までは快調に飛ばすことができた。
戸塚駅手前の八坂神社前交差点を右折し、JRを地下道でくぐったところでちょうど24時間が経過。グロス20km/hも危うくなってきたが、ここからは急いだところで大体信号に引っかかるので目標を切り替えて安全なペースで進行。もう頑張れないだけとも言う。
横浜からはR15を使用。六郷橋を歩道で渡り東京都に入るとあとは完全に直進するだけだが、大森海岸駅を過ぎて自宅がある品川区に入ると今までの追い風が嘘のような超向かい風が吹き始めた。個人的な遊びで認定とかあるわけじゃないしそもそも時間オーバーしてるし日本橋まで行かなくてもいい?と何度も考えたが、大阪で送り出してきた方々の顔が走馬灯のように脳裏を駆け巡る。幸い前傾をとることができたので、姿勢を低くしてラスト10kmを耐え忍ぶ。金谷峠よりきつかった…
銀座までの区間が永遠に思えたが、18:44 に無事ゴール。522km 26時間14分の旅が終わった。

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出迎えてくれる方はいないので元標の写真だけ撮って帰路に就く。家まで帰れなかったらどうしようと思ったが帰り道は追い風なのでなんとかなった。途中から風向き変わって良かった~(よくない)

走行距離:522.27km
走行時間:22h 14m(ネット:23.5km/h)
所要時間:26h 14m(グロス:19.7km/h)

次はタイムオーバーしてるので参考にならない装備の話